お待たせしました。撮影編です。
このシリーズ完結編です。撮影日は7月7日の深夜1:00、天頂に織姫と彦星を仰ぎます。
本編は撮影編です。説明や設備・準備の内容は以下の記事をご覧ください。
【七夕2016】星を撮影!今年は月なし星が綺麗!(1)都内で星空編
【七夕2016】星を撮影!今年は月なし星が綺麗!(2)一眼レフ準備編
深夜1:00の織姫彦星の位置は天頂近く。
都会でも街明かりを避けて見上げることが可能なアングルです。
天気予報的にも、雲量予測的にも、この時間が一番星を見やすいと思われます。
では七夕の星を撮りましょう。
自宅でやっておくセッティング
明るい自宅でできることは全部やってから行きましょう。
カメラの設定
カメラの設定については、万能なセッティングはありません。
一応、都心の暗いところで撮ることを想定して、ある程度作っておきます。
バッテリーの充電
何はともあれ、バッテリーの充電です。
予備があれば予備もフル充電。これを忘れると、ホントに悲しい思いをすることになります。
記録メディア(SDカード)のフォーマット
せっかくきっちりセッティングするのですから、たくさん撮りましょう。
だからフォーマットして、空っぽのカードを差し込んでおきましょう。
後述しますが、加工に耐えて綺麗な色を再現できる「RAW形式」にすると画像ファイルが大きくなります。
空きが多ければ、インターバルシャッターで回しておき、運も良ければ明るい流星も飛び込んできます。
七夕の夜空に流星が重なった写真が手に入ったら、もう最高ですよ!
リモートコードの電池交換とセッティング
結構持つのでついつい忘れていますが、いつかはなくなるのが電池。
突然弱くなって誤動作して終了は避けたいものです。
特に互換製品を使っている場合、そのへんの品質はテキトーと考えて、早め早めに手を打ちましょう。
次にセッティングです。
ニコンおよびその互換品の使い方です。キヤノン用も同じものが出ています。
- 真ん中の【SET】ボタンを押す。
- 【▶】を8回ほど押す。「INTVL(インターバルシャッター)」に「━」印がついて、秒が点滅する。
- 【▲】または【▼】を押して「00:00'01"」にする。
- 【▶】を1回押す。「N(撮影枚数)」に「━」印がついて、[]内の枚数が点滅する。
- 【▲】または【▼】を押して「- -」(無限)にする。
- 【▶】を1回押す。液晶上の「♪」に「━」印がついて、「♪」(クリック音)が点滅する。
- 【▲】または【▼】を押して通行止めマークのついた「♪」(音無し)にする。
- 真ん中の【SET】ボタンを押す。
- 【▶】を3回押す。「INTVL(インターバルシャッター)」に「━」印がつく。
実はインターバルタイムを00:00'01"にするのは、本来の使い方ではありません。
これだと、リモート側から1秒おきにシャッター信号が出るのです。
カメラのシャッター時間を8秒とか10秒に設定し、後に示す露出ディレイが1秒かかると、1枚の撮影に合計9~10秒かかります。
しかし安心してください。カメラ側は、1回の撮影が完了するまで、シャッター信号を無視してくれるのです。
なので、このリモートの設定のままであれば、シャッター時間を変化させても、1秒以内の誤差で次々とインターバル撮影ができるというしかけです。
暗い中で、いろいろ設定変更するのはミスの元。
なるべくシンプルな操作にしましょう。
カメラのセッティング(ニコンD7000の例)
大した機能は使いませんので、他のカメラでも基本的に似ていると思います。
レンズは、APS-Cで35mm/f1.8という明るいレンズをつけていることが前提です。
(7/6夜)急きょ訂正します。35mmでは、織姫と彦星が入りきらないのです。
かわりに18-50mmのズームを使います。ただし明るめのF2.8にします。
広角ではない画角がさほど広くないレンズのデメリットは、星の移動速度が早いことです。
長時間シャッターを開けると、星が点ではなくウジ虫のような弧になってしまうのです。
その点、明るいレンズなら光を稼げますので、比較的短時間のシャッターで写すことができます。
つまり、レンズの明るさは、星が点で写るか、弧で写るかを決めてしまうのです。
だいたいこのレンズであれば、8~10秒が限界です。
レンズを広角に変えましたので、シャッター速度も12~15秒位までいけます。
【7/6夜追記!】
35mmレンズの選定はまずかったです。ごめんなさい。
やっと晴れた6日の夜、覗いてみたら夏の大三角の3つの星が、画角からはみ出しました。
それだけ、織姫と彦星の距離は遠かったのでした。
すみませんでした!
カメラのモード設定
撮影モードは「M(マニュアル)」にします。
フォーカスも、本体・レンズともに「M(マニュアル)」です。
シャッタースピード・レンズの絞り・ISO感度
シャッタースピードは、10~15秒です。
絞りは、明るさを維持しつつ、キリッと締める程度で、3.2にしましょう。
ISO感度は、暗くてもノイズが出にくい320前後。
光害のない山などへ行けば、もっと感度を上げられて、ダイナミクスの大きな写真を撮ることができるのですが、大都会では光害のせいで白くなってきます。
このあたりが限界でしょう。
おそらく少し暗めに写ります。
あとで撮影画像編集ソフトを使って、レベル補正をする必要があると思います。
最終的にはこんな感じの星が手に入ればいいかな(北斗七星の例)。
次に設定メニューです。
- 画質モードはRAW
- ホワイトバランスはAUTO
- ピクチャーコントロール(色合い)はビビッド
- 色空間(カラーモデル)はAdobe
- 長秒時ノイズ低減はOFF(ONにすると、撮影後に撮影時間と同じ時間をかけてノイズ処理が行われる)
- 高感度ノイズ低減は標準
- 露出ディレーモードはON(シャッター開始後ミラーが上がって1秒後に撮影が開始される・振動軽減効果)
- 液晶モニターの明るさは-3
現場でやるセッティング
ピント合わせと固定
ピント合わせは星の撮影の生命です。
ピントさえ合っていれば、あとでいかようにもできます。
少し言い方が盛りすぎ(*´ڡ`●)ですが、それくらい重要です。
ライブビューを使ってピントを合わせる
星は暗く細かいので、なかなかピントが合わせられません。
オートフォーカスも暗すぎて期待できません。
デジカメ特有の機能を使って、よく行われる簡単な方法があります。
液晶画面にライブビューさせる方法です。
- カメラを三脚に立てる。
本番の撮影アングルではないです。あくまでもピントをあわせるだけ。
空を見て、明るい星に向かって、腰が痛くならないよう、液晶画面がよく見える位置で、三脚を高くしてカメラを固定します。 - カメラの電源を入れ、ライブビューを開始。
このような画面になります。まあ真っ暗です。 - 明るい星を真ん中の赤枠に合わせてカメラを固定する。
三脚のブレとかありますので、慎重に少しづつ、丁寧に星を一個赤枠に収めます。
- 拡大する。
「+」記号のついた虫眼鏡ボタンを何回か押して、画面いっぱいに星を拡大します。
- ピントを合わせる。
レンズをゆっくり回してピントを合わせます。
画面に映る星が一番小さくなる時がピントが合った状態です。
慎重にゆっくりやりましょう。
少し遅れて表示されたり、放置しておくと変化したりするので、数秒は待ちながら調整しましょう。 - レンズを養生テープで固定する。
ピントが合った位置がずれないように、養生テープを貼って固定します。
すばやく丁寧に貼りましょう。写真は100均のマスキングテープを貼りました。
テープを貼った刺激で、ピントがずれていないか確認しましょう。
- ライブビューを終了する。
ライブビューは電池を消耗しますので、つけっぱなしはやめましょう。
撮影アングルに固定する
星座マップのアプリを使って、空の星の位置がどの方向なのか確認します。
スマホを空にかざすと、どこを見ているか教えてくれます。
方角は「西南西」です。西に近い南西ですね。
私は長年iPhoneの「iステラ」を使っています。搭載されている星や彗星、星座の情報量が半端ないです。
あとは、カメラのファインダー内にアプリと同じ星が来るように、アングルを固定します。
暗いですよ。ライブビューを併用するなどして、なんとか合わせてみてください。
どうしてもあわなかったら、そのまま、一枚撮ってみてください。
おそらく星が写っています。それでカメラアングルを修正します。
セッティングはしつこく追いかけましょう!
あと、意外と狂うのは水平。
天頂付近といっても、水平が狂っているとなんか変です。
あとで、星図と合わせる時も狂います。
カメラの水平儀機能を使うと便利です。
僕は、カメラの汎用ボタンに、水平儀の呼び出しを定義しています。
ファインダーを覗きながら、ボタンを押すと、露出メーターの部分が水平儀に変わります。便利ですよ。
天頂付近ですから難しいかもしれませんが、高層ビルがあるなら入れてみるといい感じになります。オリジナルな写真になります。
試し撮りと露出調整をする
リモートコードを接続します。
「TIMER START/STOP」ボタンを押せば、インターバル撮影がスタートします。
数枚撮って、もう一度、リモートコードをのボタンを押せば撮影は止まります。
液晶モニターで見てみましょう。
空が白と黒の中間くらいのグレーで、星がきれいに点を描いていたら成功です。
暗い場合
ISO感度を上げます。
現在320なので、400、500と上げながら見ていきます。
明るい場合
絞りを2.2より絞るか、ISO感度を下げるか、どちらかします。
僕は、明暗連続して調整したいので、ISOだけで動かしています。
細かい調整は露出を使用します。
シャッター速度の調整はやめたほうがいいです。
時間を長くすると、前に書いたように星が流れます。
短くすると、流星が飛び込んできた場合に、全貌を捉えられる確率が下がる。
もちろん画角が狭いレンズなので、流星が視野を超えてはみ出してしまうこともありますが。
お待たせしました。撮影です!
リモートコードをブラブラしないように、三脚に固定します。
「TIMER START/STOP」を押して撮影開始です。
メモリカードの容量にもよりますが、2~3時間は撮影できるでしょう。
あとは、スマホでも楽しみながら、撮影終了まで待ちましょう。
家に帰ったら補正しましょう
カメラ付属の画像補性ソフトを使って、見やすいコントラストをつけたり、色合いをビビッドにしたり、露出を変更したり。
自由にやってみてください。
もしかしたら、流星が写っているかもしれません。
流星群のない今の時期でも、数百枚のうち数枚くらいの確率で、出現することがありますので探してみてください。
では、ご健闘を祈ります!
私もトライしますので、うまく行ったら後ほどアップします。
【7月7日追加】
曇りがなんとか晴れ、無事写真が撮れました。
場所は東京品川です。
ちょっとわかりにくいかとおもいますので、星座のラインを示しておきます。
- 青色は夏の大三角
- 水色は、彦星のいるわし座、大三角の左頂点が彦星のアルタイル
- 赤色は、織姫のいること座、大三角の右頂点が織姫のベガ
- 黄色は、はくちょう座、大三角の上頂点がデネブ
全部写っていますよ。東京都心でもこれだけ見えました!
ご覧いただき、ありがとうございました。