NASA木星探査機「ジュノー(Juno)」が木星に到着しました!
日本時間2016年7月5日11時4分、地球発射から5年間かけての宇宙の旅を終え、ついに木星の南北を巡る周回軌道に入った。
今後は、木星の内部構造の調査、磁気・地場などの観測、太陽系最大の惑星の木星から、我々のいる太陽系の起源も調査される。
とても楽しみですね。
5年間の旅といえば、2011年8月の打ち上げです。今日までおよそ30億キロメートルも飛んできた。
その推進エネルギーは、はやぶさを見届けた日本人としては気になるところ。
Junoの推進には、巨大な太陽電池パネルが利用されている。
3方向に広がった巨大な太陽電池と、省エネ設計の探査機により、地球の1/25(約4%)しかない太陽光で、健気に推進してきたのである。
NASAでは、各種探査機からの電波通信をアメリカのゴールドストーン、スペインのマドリード、オーストラリアのキャンベラから受信しているようだ。
NASAが一般公開しているDSN Nowサイトというのがある。
NASA DSN Now - Deep Space Network Now
ここにアクセスして見ると、Junoは現在アメリカとオーストラリアで電波を受信していることがわかる。
地球の自転・公転の関係だろうか。時間によって探査機の電波を受信するアンテナが異なるのがわかる。
少し、DSN Nowを細かく見てみよう。
まずは、アンテナ選択画面だ。
世界3箇所の各地点には、それぞれ複数基のアンテナがあることがわかる。
それぞれを選択して、探査機との通信状況を確認することができる。
アンテナには、接続している探査機のコードネームが示されている。
Junoはコードネーム「JNO」だ。現在はキャンベラの全アンテナが接続中である。
また、通信状況を示す4種類のアイコンも表示される。
送信と受信、それぞれキャリア信号とデータ信号だ。
選択したアンテナの詳細状況が表示される。
現在のアンテナ外観と探査機外観(CGくさいが)と、日照範囲付きの世界地図。
夜は夜景になる。
雰囲気は盛り上がる
現在の日照範囲がわかる。飛行機に乗るとよく見る地図だ。
8億6921キロメートル、通信している直線距離だろうか。
報道では、90億キロ飛んできたとあった。
地球や土星などの軌道に影響されて蛇行しながら飛んできたのだろう。
衛星の位置が現れている。少しづつ値が動く。
アジマスはアンテナから見た探査機の方位角、エレベーションは仰角だ。
送信信号だ。秒間125バイト!
これで探査機を制御したり命令したりするのだ。
関係ないが初めて利用したモデムが300バイト/秒だった。
昭和50年代の通信速度だ。
受信信号はもっと遅い。秒速100バイト!
これで調査結果などをのらりくらりと転送してくる。
受信データが2系統ある。
でっかいパラボラアンテナから送信するパワー(19.98KW)に比べて、受信信号の微弱さ(4.64x10のマイナス22乗KW)。
よくぞ識別できるものだと感心してしまう。
ちなみにひとつめの受信パワーは、-157.39dBm(1.82 x 10の-22乗KW)である。
dBmは通常、KWではなく、mW(ミリワット)に変換される。
dBmの変換式は、10log10(mW)だ。
感覚的に示すと、とんでもない微弱さだ。
1KWの千分の1が1W
1Wは30dBm
100mWは20dBm
10mWは10dBm
1mWは0dBm
・・・もっとちいさい。
アンテナのモードがARRAYと書いてあったので、ダイバーシティのような並列の伝送だろうか。
同じ信号を同時並列に受信して、誤り訂正をおこなっているのだろう。
昔宇宙っ子だった大人たちへ、宇宙の彼方に夢を馳せてはいかがだろうか。
今後Junoは、2018年2月まで観測運用を行う。
その間37周の周回軌道を少しずつずらしながら、木星全体を網羅する予定だ。
木星は、太陽系の中では大きさ質量ともに最大の惑星。
惑星の直径は14,200キロメートルと超巨大な球体で、地球の11倍もある。
しかし、質量が地球の320倍もあって、地球で想像する組成とは全く異なる惑星らしい。
一日の長さも短く、たった10時間。
ここにいると地球の2倍以上齢をとるのだ(嘘)。
こんなに重くて、大きいくせに、中身は水素やヘリウムのガス成分らしい。
雲の塊と言ったらいいのだろうか。
さて、Junoは観測が終わると、はやぶさのように帰還するわけではない。
寂しい気持ちがあるが、ガス物質の木星に突入して終わる。
最後にどんな観測結果を送ってくれるのだろうか。
その時は、もう一度 DSN Now にアクセスして、最後の電波を見届けたいと思っています。