バングラディシュは、もはや危険地帯なのか。
外務省は、事件を明確に予測していた。
首都ダッカのカフェ「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」で、イスラム国(IS)系武装グループが20人の人質事件を起こした。
地元治安部隊が突入して、日本人1人を含む13人を救出した。
救出された日本人は、他の日本人と別々に行動していたとされ、負傷しているものの命に別状はないとのこと。
残る7人は日本人の人質とわかりましたが全員の死亡が報じられた。
米スカイニュースは「死亡した人質20人は全員外国人、その大半がイタリア人と日本人」と報じました。
この事件の発生10時間後には、治安部隊は100人以上の激しい銃撃戦になり、武装グループは「アラーアクバル(アラーは偉大なり)」と発砲。
爆発音も聞こえる状況となったそう。
政府からは当初から厳しい見通しだと伝えられていた。
大変いたましい事件が発生しました。犠牲者の方々には深い哀悼の意を表します。
日本人8名は、なぜ事件に巻き込まれてしまったのか。
また、バングラディッシュの首都ダッカ、それも事件現場は大使館から数百メートルの場所は、そもそも危険地帯なのか。
日本の外務省は、世界中の渡航情勢を事細かに把握しており、今回の事件発生も、ある程度予測していました。
犠牲者の人たちは、これを参考にできていたのだろうか、そんな余裕すら無い、過酷な任務だったのだろうか。
悲劇が起こった後となっては残念でならない。
救出された日本人が大使館員のインタビューに対して、事件発生時は食事中だったと答えたという。
8名のメンバーは、国際協力機構(JICA)の円借款プロジェクトに参加している技術者仲間。
犠牲になった7人の日本人とは、行動を別々にしていたため、運命がわかれたようだ。
すでにジャーナリストや自称専門家による、ああすればよかったという後出しジャンケン記事が並び始めている。
今夜や明日はもっと胡散臭くなるでしょうね。
僕も経験があるが、実際に渡航している人たちが参考にする情報の一つに、外務省渡航情報がある。
バングラデッシュを見てみると、以下「レベル2:不要不急の渡航中止」と書いてある。
危険度レベルは1から4まであって次のとおりだ。
- レベル1:十分注意してください
その国に国は特別な注意が必要 - ★レベル2:不要不急の渡航はやめてください
今回事件のあった国バングラデシュがこのレベルです。
渡航には特別な注意を払って、十分な安全対策が必要 - レベル3:渡航はやめてください(渡航中止勧告)
どのような目的であってもその国に行くのはやめる。
場合によっては退避準備を促すメッセージも - レベル4:退避してください、渡航はやめてください(退避勧告)
その国にいる人は安全な国に退避する。
そんな状況では新たな渡航はやめる
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=12#ad-image-0
この外務省渡航情報によると、今年の5月30日から「イスラム過激派組織によるラマダン期間中のテロを呼びかける声明の発出に伴う注意喚起」が出ています。
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2016C177
この内容を詳しく見ると、かなり正確な察知情報を掲載していることがわかります。
- 6月6日から7月5日頃までが、ラマダン月(イスラム教徒が同月に当たる1ヶ月間断食する)
- ISIL(いわゆるイスラム国)は昨年のラマダン月にも同様の声明を出している。
実際に期間中、チュニジアリゾートで武装集団に襲撃、外国人観光客38人が殺害される事件発生。 - 他にもラマダン期間中は、6件のテロ事件が発生している。
- 複数の国での大規模事件は金曜に当たる。イスラム教は金曜が集団礼拝の日で、そこを狙ったテロや襲撃がある。
- 2016年のラマダン金曜は6月10日、6月17日、6月24日、7月1日が当たる。
- 特にラマダン金曜前後に滞在する人は安全に注意。
外務省発出の海外安全情報、報道、最新の治安情勢の入手に努めて、危機管理意識を持つようにしてほしい。 - テロの標的となりやすい場所は、モスク等の宗教関連施設、政府・軍・警察関連施設、欧米関連施設、公共交通機関、観光施設、デパート・市場など不特定多数が集まる場所。周囲の安全、不審な人物から離れる、安全確保に注意。
- 今年の期間中は、特にフランス関連の世界的注目を集めるイベントと重なる。サッカー欧州選手権、ツール・ド・フランス
犯行現場のカフェは、「Holey Artisan Bakery」。
アルテザンは、フランス語で技術人や職人の意味です。
また、オーナーが日本人ではあるため、気軽に立ち寄ったのでしょう。私でも迷いなく行きますよ。
もう、犠牲者となった技術者の方々気持ちを考えると、涙がこぼれてしまいます。
だけど、上の外務省渡航情報を読んでいたら、どういう判断していたのだろう。
ちょっとISにとって(古くはイスラム系移民からみた西欧諸国を)敵国とみなすフランスを連想するところはやめておこうか、と考えたかもしれませんね。